ストーリー/解説

 

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頭の中で神の声を聞き、神の言葉に従って生きている、と信じている女。その娘・16歳の桜子は、そんな母を冷めたシニカルな視線で見ている。

女は、ある日酒場で、若い男が殴られ蹴られている姿を目撃し、ある種の啓示を受け、家に連れ帰る。自分が癌でもうすぐ死ぬとも思い込んでいる女は、これを運命の出会い、と位置づけるが、バランスがとれた生活は長くは続かない。実態がないような存在であった男が、初めて具体的な行動を起こし、物語は唐突に崩壊する…。

 

「愛がとまらない」解説
本作は、2006年『ワタシの王子』で、イメージフォーラムフェスティバルのグランプリを受賞し、その後も活発に映像制作を続け、海外映画祭でも数多く招待上映されてきた実験映画作家が挑んだ、中編劇映画である。

全編8mmフィルムで撮影されたこの作品は、長回しで撮られた、感情を抑えた芝居により、演じた役者個人の内面をも写し取る。その歪んだ世界感・空気感は、フィルムでしか写せなかったものだ。本作は、「愛」というタイトルを冠しながら、ことごとく「愛」の否定を試みる。そして、わざとはずした自虐的な会話の連続に、粗い画質の風景場面に、全編を貫くカメラの駆動音(ノイズ)に、作者自身の内面と現実との溝を埋めようとする軌跡が感じられる作品である。

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