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「愛のイバラ」から「愛がとまらない」へ

最新作「愛のイバラ」の上映が終わったと思ったら、もう「愛がとまらない」の上映が目の前に迫っているではないか。慌てております。

今回、「愛のイバラ」の上映では『桃まつり』という他人の企画に参加して、当たり前だが自分の好きなようにはできないことが多く、大変だった。

変態まつりはいいな~好きなことだけやっていればいいから、と思いながらやっていたが、桃まつりでやってよかった、と思えたことがひとつある。

それは、木村文洋監督(「へばの」、「愛のゆくえ(仮)」)をトークショーに呼んだこと。

色々ハードルがあって、私一人の考えだけでは実現できなかったのだけど、なんとか依頼できることになって、木村さんにお伝えしたのは、「私のプログラム上 映の最終日だから、もう何をやっても大丈夫。和気あいあいとやるんじゃなく、トーク本来の目的である、本音の批評がしたい」ということ。私としては、木村 さんに依頼する意味はこういうことです、というわかりやすい意志表示のつもりであった。

なにしろ、丁寧に依頼したときに返ってきたメールの返事が「いいですけど、僕なんかよりもっといいゲストがいると思います、他にいい方がいたら考え直して もらっていいですよ」というもので、移動中だったのですぐに「是非、木村さんにお願いしたいのです、今から平野勝之の出版記念トークショーに行くから、後 でまた詳しく」と返したら、「平野さんにお願いした方がいいですよ!もう一度考え直してください」と(笑)。考え直してくださいって…。

 2013.5.15トーク

でも私は、当日その意味を知ることになる。私は、“私が桃まつりを出入り禁止になってもいいから面白いことがしたい”、という意味で念押ししていたのだ が、木村さんは“自分が桃まつりに二度と声をかけてもらえなくてもいい”という覚悟をして、会場に来てくれたのだった。

最初から飛ばしていた。司会役の人が、普通に木村さんのプロフィールを読み上げたのに、その後すぐに「僕は、今日のプログラムの三監督と同じように自主制 作で映画を撮っています」とゲストとしてではなく、トークを依頼した私達と同じ地平に立った自己紹介を始め、桃まつりと関係ない固有名詞をバシバシ出しな がら、映画とはどうあるべきかという本質的な自説をベースに、“本音の批評”を超ストレートに、一方的に、語り始めた。打ち合わせのときにはなかった展開 だ。 この時点で私は、木村さんの本気さに感激していた。

「すみません、最後までこんな感じでいくんで」と観客に謝りつつ(笑)、監督ひ とりひとりに1対1で話を畳み掛けて行き、他監督に木村さんが話を聞いているときは、例えば私が横から口を挟むのを拒む雰囲気があり、場の空気が張り詰め ていた。 私も1対1の対決構造を崩さない方がいい、と思い、自分が話し掛けられるまでじっと待っていた。私は木村さんの隣に座っていたので、資料を繰る手が震えていたりの緊張がごんごんと伝わってきて、自分も震えた。

木村さんの自説は、「映画とは80分なり90分なりの尺があって初めて、その中で作者の強み弱みが出るもので、弱いところも含めて1本の映画として勝負するべき」というものであった。(メモをとっていないから、少し違うかもしれないけど) 私は、「映画は細部の積み上げであり、細部に強度や作家性があれば、成立する」という考えで、木村さんと私のこのやり取りは白熱したと思う。

しゃべっているうちにどのくらいの時間が経ったのかわからないクラクラするような感覚に襲われ、ずっとこの場の空気が続いたらいいのに、と思っていたのに急に司会に、「お時間がきました」と容赦なく強制終了をさせられた。

終了後の打ち上げで、カメラマン兼プロデューサーのT氏が木村さんに、「もっと観客に伝わるようにしゃべらないと!初めて話を聞く人にはわからないよ!」とダメ出しをしていた。 でも私には伝わったし、5人くらいに伝わればいいんじゃないの。私たちのやってることって、そういうことなんじゃないの。私はそう思っていた。

私が構想していた以上の面白いことができ、よかった。木村さんに感謝を捧ぐ。

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